胎児の記憶と知らないふり
幼い頃、初めて食べて感動した食べ物は何ですか?
私は幼稚園に上がる前がそこらの年の頃に、
ショッピングモールのフードコートではじめて買ってもらったバニラアイスです。
チョコスプレーがタップリまぶしてあって、
一口食べた瞬間に
「!!!」
「……すっごいおいしー!!!」
と衝撃をうけました。
表現力と語彙力がなかったので当時は無言で食べていたと思いますが、
あの時の感動は今でも覚えています笑
ただ残念ですがあの感動はもう二度と味わえないでしょう。
なんでも初めては経験がない分インパクトがあります。
気づきの経験値が急上昇というか。
やっぱり知らないって尊いですよね、
感動が何倍にも跳ね上がるのですから。
さて、タイトルの胎児の記憶と知らないふり。
「お戒壇巡り」をご存じでしょうか。
本堂の中に入口があり、中は真っ暗。
本当に一寸先も見えない暗闇のなかを、
「極楽のご錠前」という触れると来世の極楽浄土を約束してくれるというご錠前を目指して進みます。
なんだかお化気屋敷のアトラクションのようなウキウキ感もありましたが、
最後、かすかに光が見えて暗闇から明るい所に出てくるところで、ふと気づきました。
「あれ・・?なんか既視感ある」
幼少期によく見ていたとある夢があるのですが、
それが出生時の記憶だったのでは?という事に合点がいきました。
(以下夢の中)
その環境はとにかく居心地がよく、
ずっとここにいたいと思うほどの安心感がありました。
心地良く寝ていると、
突然急に全身を前後に揺さぶられはじめました。
「!!!なんだなんだ???」
ぐわんぐわんと全身を揺さぶられながら頭を挙げると
しわしわな赤黒い梅干しのようなものがうごめいています。
それを見て、どう見たって無理無理ムリ。こんなの入れないよ!
無理でしょ?と思いながらも
容赦なく頭から押し込まれようとしているのが分かります。
いやいやいや、無理やろ!?と恐怖に包まれるや否や、
いち、にの、さん!であっというまに
!!!
うーーあーーー苦し―――ぐーーーあーーー。
ってなって頭からねじ込まれたんです。
で、あーーーってなってると次の瞬間、
あたりは急にパアっと明るい乳白色の世界になっていました。
まだ苦しさ継続中。
その空間の中に一人の女性が立っていて
美しくて観音様みたいな切れ長の目で口元は少し微笑んでいます。
角度45度で振り向き気味にこちらを見て立っている場面で終了です。
これが出生時の記憶だとしたら、
初めの段階で、自らの意思で生まれたくて肉体に宿った事なんて既に忘れてますよね?
きっと宿った時点で忘れるシステムになっているんでしょうね。
まれに覚えている人もいるのでしょうけれど。
忘れてるから、はじめから大アドベンチャーですものね。
一寸先は闇。
しらないから怖い。
大冒険の始まり。
わざと知らないふりがお好きなのかもですね。